Share

2 出会い

Penulis: あさじなぎ
last update Tanggal publikasi: 2026-08-01 20:33:02

八〇一号室の前に立ち、チャイムを鳴らそうとすると勝手にドアが開いた。

「きゃっ」

思わず声を上げて見ると、出てきたのは私より少し年上と思われる、三十代そこそこの男性だった。

疲れた顔の彼は、ほっとしたような表情をして私を見つめた。

「あぁ、よかった。東雲八尋しののめ やひろです。えーと、坂本さん、ですよね。柏木さんの代わりにいらした」

そう口早に言われて、私は頷く。

「はい、あの……お嬢さんを保育園に送って、迎えに行くように言われたんですが……」

「そう、なんですが……」

と、東雲さんは気まずそうな顔になってちらっと後ろを振り返った。

これは……あれかな。

宮園さんの話によると、東雲さんのお宅には四歳のお嬢さんがいるらしい。

「とりあえずすみません、中、どうぞ」

そう言われ、私は小さく頭を下げる。

「失礼します」

中に入ると、いい匂いがした。

玄関に置かれているアロマスティックだ。

綺麗に片付いた玄関。すぐ正面に扉があって、左右にろうかが続いている。

東雲さんが出してくれた緑色のスリッパを履いて、私は彼の跡を歩いて行った。

正面にある扉を開け、中に入ると、そこは広いリビングだった。

散らばった服。

大きなテレビから流れているのは、変身して戦う女の子向けのアニメだ。

そのテレビの前で座り込む、小さな女の子。

髪の毛はかろうじて梳かしたみたいだけど、そのそばにヘアゴムが落ちているのが見えた。

女の子はばっとこちらを振り返り、じっと私を見つめる。

好奇心強そうな、黒く大きな瞳の可愛らしい女の子だ。

その子に、東雲さんは園服をもって近づき言った。

「さくら、ほら、保育園いこう」

「やだ」

女の子、さくらちゃんは首をぶんぶん、と横に振って答える。

何が嫌なんだろう。

私はふたりの様子をうかがう。

「ほら、髪の毛縛ってやるから」

「やだ。パパじゃやだ」

そのやりとりを聞き、私は部屋を見回した。

部屋には何枚かの写真が飾られていて、さくらちゃんが映っている写真を見ると可愛く髪の毛が結ばれているようだった。

そうか、パパだと可愛く結んでもらえない、からかな。

私でできるかな。

あんまり得意じゃないけれど。

そう思いつつ私はそっとさくらちゃんに近づいた。

「あの、さくらちゃん。私、柏木さんの代わりで来ました、坂本といいます」

「やだ。柏木さんがいい」

「だからさくら。柏木さんは昨日、事故にあって、しばらく来られなくなったんだって」

疲れた声で言う東雲さん。

「いつも柏木さんに髪の毛、縛ってもらっているんですか?」

そう私が東雲さんに言うと、彼は頷く。

「そうなんです。いつも手の込んだ感じでやってくれて。俺だとただ縛るだけなので」

そう答えて、東雲さんは苦笑する。

なるほど、そういう事なのね。

「あの、私にやらせてもらってもいいですか?」

そう東雲さんと、さくらちゃんに尋ねる。

東雲さんはほっとしたような表情で頷くけれど、さくらちゃんは不機嫌な顔でこちらを見るだけだ。

まっすぐと、疑うような目に思わずたじろいでしまうけれど、ここでひいてはダメだと思う。

私はさくらちゃんに近づき、

「失礼します」

と声をかけ、その後ろに座った。

そして、くしとヘアゴムを受け取り、さくらちゃんに声をかけた。

「『マギカプリンセス』シリーズ好きなの?」

するとさくらちゃんは小さく頷く。

一度は通るよね、マギカプリンセスシリーズ。

これはもう二十年続いているシリーズだ。

最初のシリーズは私も見ていた。

「私も昔、好きだったんだ」

そう言うと、さくらちゃんは、こちらを振り向いて驚いた顔で言った。

「大人なのに?」

大人が見るのはおかしい、って思うよね。

「子供の頃好きだったよ。大人になった今もたまに見るし」

このシリーズは男の子向けの戦隊シリーズと続きでやってるから思わず見ちゃうんだよね。

さくらちゃんは、テレビへと目を向けて言った。

「パパは見ないの」

でしょうね。

私の背後で、東雲さんが苦笑交じりに言うのが聞こえてくる。

「俺が見ていたらおかしいだろう」

それはそうかもしれないけど、女の子がいるご家庭なら普通に男性も見るんじゃないかな。って思うけれど。

私はさくらちゃんの背中に声をかけた。

「髪の毛、触っていい?」

するとさくらちゃんは、黙ってうなずいた。

胸元まで伸びた細い髪。茶色交じりで明るい色って、子供特有なのかな。うちの息子もちょっと明るい色しているし。保育園の子たちの中には、ちらほら茶色っぽい髪の子、いるもの。

髪の毛を梳いた後、スマホでさっと縛り方を調べる。ふたつに分けて縛った方がいいよね。見た目でわかりやすいし。そう思って私は、左右で髪の毛を分け、頑張って両方を編み込みの三つ編みにする。

初めてにしてはまあまあ、かな? という出来だったけれど、さくらちゃんはそれでも嬉しいみたいで、ぱっとこちらを振り向いて、笑顔を見せた。

「保育園、いく!」

と、声を上げる。

よかった。

「よかった」

私の心の声と同じ言葉が、背後から聞こえてくる。

東雲さんとさくらちゃんの準備をして、私は彼女を連れて保育園へと向かった。

Lanjutkan membaca buku ini secara gratis
Pindai kode untuk mengunduh Aplikasi

Bab terbaru

  • クズ夫に捨てられた私、子連れで溺愛社長と結ばれる   59 夜の大人の時間

     ソファーの前のテーブルに置かれるワイングラス。 白ワイン、かな。 それにクラッカーやキューブのチーズが、新幹線の柄の紙皿に並んでいる。 紙皿がちょっと微笑ましい。「洗い物、減らしたいので」 と言い、八尋さんは私の隣に座る。ほんのわずか、隙間を開けて。 八尋さん、今日もいい匂いがする。 いつもと違う匂いな気がするけど、何でだろう。 この匂い、あれ、もしかして。「あれ、入浴剤、ですか?」 自信なく言うと、八尋さんはうんうん、と頷く。「そうですそうです。ほら、おもちゃがでてくる入浴剤、あるじゃないですか」「あぁ、バスボムですね。なんかいつもと違う匂いがするなと思って」 すると八尋さんは驚いた顔を向けてくる。「よくわかりましたね。自分だと匂い、よくわかんないですけど」 そう言いながら、八尋さんは自分の手首を顔に近づける。 その姿を見ながら私は笑い、「あはは、自分の匂いってよくわかんないですよねー」 と告げる。 私はどんな匂いがするんだろう、って思ったけれど、俊太とお風呂、入ったあとだから石けんの匂いがするだけだよね。「子ども、バスボム好きですよねー」「そうですね。うち、出た人形が玄関に飾ってます。出たら満足なんですよねー」 そういえば、ここの玄関、可愛いキャラクターの小さい人形が飾られていたっけ。 あれ、バスボムのだったんだ。 八尋さんが、グラスを手に取り言った。「最近、ヘアゴムの飾りが出てくるバスボムもあるんですよねー」「え、そんなのあるんですか?」 どういうことだろうと思って、私はスマホで調べる。 ゴムは別でついていて、バスボムの中から出てきた飾りを乾かして、ヘアゴムにつけるらしい。 知らないうちに、すごいのでてた。よく考えるなぁ。「知らなかった」「あはは、そうですよね。俺もびっくりしましたけど」 そして彼はこちらを向いて目を細めて笑い、グラスを掲げた。「とりあえず、飲みましょう」「は、はい」 私はグラスを慌てて手に取って、八尋さんの方を向く。 うーん、八尋さんの顔見てると本当にドキドキするなぁ。 グラスを傾けて、「乾杯」 っと言いあって、私たちはグラスに口をつけた。 久しぶりにお酒飲むなぁ。 ぐい、と飲んで、クラッカーにチーズをのせて口にする。「んー、美味しい」「久しぶりですね、

  • クズ夫に捨てられた私、子連れで溺愛社長と結ばれる   58 誕生日のお祝いとそのあとと

     ピザにスープ。それにサラダにローストビーフ。 たくさんのごちそうが並ぶなか、さくらちゃんが言った。「うわぁ! すごーい!」「皆で食べよう。食べおわったらケーキね」 そう私が言うと、俊太が両手を上げた。「わーい!」 ピザをカットして、紙皿にとって。 いつも飲み物は麦茶って決めているけれど、今日は特別にジュースだ。 「クリスマス、サンタさん何くれるかなー」「新幹線とー、車とー、あとねー」 なんて俊太が数えはじめると、それを笑って八尋さんが頷く。「いいなー、たくさんもらえるかなー」  すると俊太は大きく頷いて、手を大きく上にひろげた。「いっぱいがいい!」「そうねー、いっぱいだといいねー」 笑いながら言い、私は俊太に食べるように促す。 わきあいあいとご飯を食べて、片付けたあとはケーキの時間だ。 箱を開けて現れたのは、俊太が好きな新幹線のはやぶさが描かれたケーキだった。「はやぶさだー!」 プリントなのかな。すごくかっこよくはやぶさが描かれている。 正直、切るのがもったいない。 そのケーキに、八尋さんがろうそくを三本さして、火をつけた。「じゃあ電気消すね」 そう告げて、私はテーブルの上にある照明のリモコンを操作して、電気を落とした。 ろうそくの火が、暗闇の中でゆらゆら揺れる。「せーの」「ハッピバースデートゥーユー」 そう皆で歌う。 俊太は目をキラキラさせて、ケーキを見つめていた。 ケーキにささる三本のろうそく。それを見るとなんだか不思議な気持ちだった。 生まれて三年経ったんだ。 まだ三年? この数か月が怒涛過ぎてもっと時間が経っているみたいに思うけれど、そうでもないんだなー。 灯りをつけて、ろうそくをぬいて、ケーキを切り分ける。 楽しい時間はあっという間に過ぎていって、プレゼントを開けた俊太はぱあっと顔を明るくする。 新幹線の本に、パトロール隊のおもちゃ。 そのあと俊太はさっそく玩具で遊び、夜は絵本を読みながらベッドに入った。 本を読みながら俊太は私にいろんな話を教えてくれる。 しばらくすると満足したのか、大きな欠伸をして眠りについた。 その頭を撫でていると、眠気が襲ってくる。 八尋さんと約束があるから寝ちゃだめだ。 そう言い聞かせて私は、寝ないように薄闇の中、俊太の本を開いた。 しばらく

  • クズ夫に捨てられた私、子連れで溺愛社長と結ばれる   57 息子の誕生日

     子供たちのお迎えは私がひとりで行った。 帰り道、「今日はー、誕生日だよねー」 と、さくらちゃんがわくわくした顔で言う。「ママ、新幹線は?」 顔を輝かせて言う俊太。「そうだねー、誕生日はちょっと違うやつかなー」 そう言って笑って誤魔化す。 だって、新幹線はクリスマスに買ったから、今回は犬のパトロール隊のおもちゃだ。 なにをあげてもよろこぶ、といいんだけどなあ。 正直このお年頃は何を欲しがるのか全然分からないんだよね。 子供たちを連れて帰り部屋に入ると、「たっだいまー」 と、声を弾ませてさくらちゃんがばたばたと廊下を走っていく。「さくらちゃん、あるこうねー」 そう声をかけると、さくらちゃんは急ブレーキをかけるように立ち止まって、こっちを振り返って下を出す。「へへへー」 なんて言って、さくらちゃんは、すり足で廊下を歩いて行った。 そんなの無視して、俊太は靴を脱ぐ。 そしてリビングに向かおうとするのを私は制した。「さきにあっちに荷物、おいてこよう」 言いながら、私は私たちが使っている部屋がある方を指差す。 すると俊太は目を大きく開いて声を上げた。「なんで?」「今日はそういう日なの」「なんで?」「先に手を洗って、うがいしようねー」「なんで?」 うん、今日はなんで攻勢がすごい。 私は内心苦笑して、それでもついてくる俊太を連れて流しに向かった。 八尋さんとこれは決めていたことだ。 俊太を今日、連れて帰ってきたらまず手を洗ってお片づけをする。 その間に、さくらちゃんたちが準備をするらしい。 荷物を片付けて準備をして、私はスマホを見た。 ちょうど八尋さんからメッセージが届いて、「準備出来た」と書いてあった。 私は俊太に手を伸ばして、「行こう」  と声をかけ、手を繋いだ。「なんで?」 と、俊太の疑問が始まる。「誕生日でしょー、今日は」「うん」 そう頷く俊太を連れて、私はリビングへと向かう。 そして、ノブに手をかけて俊太の方を見て言った。「一緒にあけようか」 すると俊太はばっと手を伸ばしてきたかと思うと、ガチャっと勢いよく扉を開いた。 するとパーン! という音と共に紙が舞う。 クラッカーだ。 音に続いてさくらちゃんたちの声がした。「お誕生日おめでとー!」 俊太はびっくりしたみたいで辺

  • クズ夫に捨てられた私、子連れで溺愛社長と結ばれる   56 あの女性

     鳴り響いたチャイムを聞いて私はさっと立ち上がってインターホンのモニターを見る。 それを見て私は思わず息をのむ。「あぁ、来た」 私がインターホンのボタンを押す前に、八尋さんがエントランスの扉を開くボタンを押した。「あ……」 私はハッとして後ろに立つ八尋さんの姿を見る。 今の人、この間見かけた女性、だよね? 八尋さんの会社の人。 胸の奥がざわざわしてしまう。 そんな私のことなんて知らない八尋さんは、ニコニコ笑って言った。「涼花さんは座って待っていてください」「え? いや、でも……」 私が家政婦だし、っていう思いと、例の女性を見たいっていう気持ちと、何ともいえないどろっとした感情が私の中にあってわけわからなくなりそうだ。 八尋さんは私を片手で制して、「大丈夫ですよ、それくらい俺が受け取るから」 と言い、バタバタとリビングを出ていく。 私は胸の前で手を握りしめ、じっと扉の方を見る。 どうしよう。気には、なるんだけどな。 ちょっと迷った後、私はゆっくりと扉に近づいてそして、その扉を開いた。 するとちょうど、扉が開く音が聞こえてくる。 玄関が見える所まで出て、ちょこっとそちらを見ると、八尋さんの背中が見えた。「ありがとう」「いいえー、それで準備はできたんですか?」 という、元気な女性の声が聞こえてくる。 ちらっとみえる頭とか見るとこの間見た人に間違いなさそうだ。 って、覗き見しているみたいでいやだな。何しているんだろう、私。 その時、ちらっとあの女性がこちらを見たような気がした。 その瞬間、にこやかに八尋さんと話をしていた女性の顔が一瞬、真顔になる。 でもすぐに笑顔になって、彼女は八尋さんの顔を見て、「それじゃあ私、帰りますね」「あぁ、うん。ありがとう、結城」 結城さん、ていうんだ。 彼女はこちらに背を向けて玄関ドアを開ける。 あ、まずい。八尋さん、戻ってきちゃう。 私は慌ててリビングの方へと戻って、さっきまで座っていた椅子へと向かう。 すっかり飲み物、冷めちゃった。 レンジで温めよう。 カップを持ってレンジに近づいたとき、扉が開く音がした。「お待たせしました。ケーキ、しまっておきますね」「あ、はい、ありがとうございます」 言いながら私はレンジにカップを入れて、スタートボタンを押す。「あとお菓

  • クズ夫に捨てられた私、子連れで溺愛社長と結ばれる   55 お遊戯会と誕生日の準備

     まだ二歳の俊太は、直接サンタさんからプレゼントを渡されてそのプレゼントとサンタさんを交互に見ている。 サンタさん、生で見るの初めてだもんね。 生、と言っていいのかよくわからないけれど。 サンタ役はたぶん誰かのお父さんだろう。 子供たち、ざわついているけどちゃんとお座りできてえらいなぁ。 その姿にまた、ほろり、としてしまう。 サンタさんタイムが終わってお遊戯会も終わる。荷物を抱えて私は俊太のお迎えに教室へと向かった。「ママ!」 そう声を上げて俊太が走ってくる。 「俊太」「あのね、サンタさんにもらったんだよ」 そして俊太は、手提げバッグを私に見せてくれる。 そこにはさっきもらったサンタさんからのプレゼントが入っていた。「よかったねー。うち帰ってあけようね」「うん」 ニコニコ顔になる俊太と手を繋いで、私は頭を下げて教室を後にした。 さくらちゃんは、今日はパパがお迎えだからこのまま帰ることになる。 園庭を出たとき、俊太がキョロキョロして言った。「さくらちゃんは?」「さくらちゃんは今日はパパがお迎えなんだよー」「なんで?」「さくらちゃんのパパがお迎えだからねー」 そう、答えになっている様でなっていないことを言ってしまう。 この年頃は、なんでもなんで? が多いような気がする。 さくらちゃんのパパがさくらちゃんをお迎えに行くのは当たり前なんだけど、その当たり前をどう説明したらいいのか、私にはわからない。「なんで?」 案の定、俊太は同じ質問を繰り返してくる。 こうなるとしばらく同じことの繰り返しになってしまうので、私はどう誤魔化そうかと考えた。 「お買い物して帰ろう? おやつ、何食べたい?」「おやつ食べる!」 誤魔化すにはやっぱりおやつが一番だな。 すっかりおやつに意識がいった俊太を連れて、私はスーパーへと足を向けた。 その数日後。 とうとう俊太の誕生日がやってきた。 わざわざ八尋さんは仕事を半休、とってくれて今、室内の飾りつけをしている。 その背中に、私は笑いながら声をかけた。 「こんな飾りつけしたの、初めてですよ」「そうなんですか? さくらのときはいつもこうしていて」 そう言って、彼は壁に飾りをつけていく。 ハッピーバースディの文字に、三、という数字。 星やら花やらのウォールステッカーも貼

  • クズ夫に捨てられた私、子連れで溺愛社長と結ばれる   54 お遊戯会とサンタさん

     先生の指示に従って、俊太がタンバリンを鳴らす。 その姿が可愛くって、スマホ越しにすっごい見てしまう。 合奏が終わって私はいっぱい拍手をした。 家じゃあまだイヤイヤ期で手がかかるけれど、保育園だとこうして先生の言うことを聞いて、こんな楽器の演奏までできて。 なんだかほろり、としてしまう。 ちゃんと成長しているんだなぁ、俊太。 その後の劇で、俊太はきこりの役をやっていた。 緑色のベストに緑色の帽子を被って。台詞は言えないから全部先生が言ってくれるんだけど、ちゃんとフリをしてて可愛かった。 第一部が終わって、席を入れ替わって私たちは後ろに下がる。 今度は年少さん以上のプログラムで、さくらちゃんの出番がある。 ざわざわと保護者たちが席を移動していると、八尋さんの姿を見つけた。 視線が合うと、彼は小さく頭を下げてくる。 私も会釈だけして、そそくさと視線をそらして席を移動した。 下手に見られてなんか言われても面倒だもの。 しばらくすると、第二部が始まる。 最初は年少さんの歌と合奏だ。 赤いベストを着た年少さんたちが出てきて、鍵盤ハーモニカを持っている子もいる。 その中にさくらちゃんの姿を見つけて、私は小さく手を振った。 後ろの方なのでちょっと見にくいけれど、スマホのカメラでアップにするとよく見える。 さくらちゃんは鍵盤ハーモニカをひくみたいで、ステージの前に置かれたテーブルにハーモニカを置いて、椅子に腰かけて演奏が始まるのを待っていた。 先生のピアノに合わせて挨拶をした後、子供たちが声を合わせて言った。「せーの、『さんぽ』をうたいます」 せーの、って言ってるのも可愛いくて、保護者たちから笑いが漏れる。 ジブリの歌は定番よね。 演奏が始まって、さくらちゃんも歌を歌う。サビに入る前にハーモニカの演奏が入って、さくらちゃんは一生懸命に指を動かしていた。 といっても一音を長くひいているだけだけど。すごいなぁ。 演奏は一番だけで終わって、皆が立ち上がって観客席へと頭を下げる。 そこにいっぱい拍手して、年少さんのお歌と合奏は終わった。 そのあと、年中さんと年長さんのお歌と合奏が続いて、そのあといよいよダンスの時間だ。 演目を見ると、さくらちゃんの出番はもうすぐだ。 なんか可愛い服を着て踊ると言っていたけれど、どんな服なんだろう

Bab Lainnya
Jelajahi dan baca novel bagus secara gratis
Akses gratis ke berbagai novel bagus di aplikasi GoodNovel. Unduh buku yang kamu suka dan baca di mana saja & kapan saja.
Baca buku gratis di Aplikasi
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status